日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2019年12月4日視覚に訴える


私は、毎年7~8回、会議を効率的・効果的に進めるためのファシリテーション研修の講師を務めています。

研修では、最初にファシリテーションに関する講義をして、その後、演習を行います。

しかし、冒頭からいきなり講義を一方的に行ったのでは研修の場が活性化されません。

なので、私は研修の前には、必ずグループで話をしてもらって場を暖めることにしています。

そのグループ会話の際に以前は「15分でお願いします」と言葉だけでお願いをしていました。

そうすると、15分を超えて20分弱話すグループが少なからずありました。

私も全員に話をして欲しいので、「はい、ここまで」と区切らず、全員が話し終わったのを確認して講義に入っていました。

しかし、ある日思いついて、スクリーンにタイマーで残り時間を表示してみました。



 

すると、すべてのグループが時間内に話を終えてくれたのです。

それからは、グループ会話でタイマーを表示するようにしていますが、ほぼ毎回時間内に話を終えてもらっています。

 

私はこの経験から、視覚に訴えるというのはすごく効果的だな、と改めて思いました。

我々は聞いたことをすべて覚えていられません。

研修でグループ会話を始める時、参加者は

「どんなことを話そうか」

と緊張しながら考えを巡らせているはずです。

そんな時に「15分でお願いします」と言っても、私の言葉はほぼ記憶には残っていないでしょう。

言葉というのは、常に流れていくものなので、余程印象的でないと記憶には残りません。

でも、タイマーが表示されていると、時間を守らねば、ということが容易にイメージできますよね。

 

人は物事を理解したり記憶したりする時は、その対象をイメージ化します。

話し方教室では「具体的なイメージが浮かぶように話してください」とお願いしています。

これは聞き手が頭の中に話をイメージできてはじめて理解される=伝わるからです。

しかし、目に見えるものはイメージそのものですので、理解が容易ですし、記憶にも残りやすいのです。

なので、話し方教室でも「効果的な視覚物の使い方」という講義を行って、目に見えるものを使って話をする方法をお伝えしています。

話をする時に、可能であれば、写真やグラフ、本、新聞記事などを示すと聞き手はイメージしやすくなります。

身振り手振りで大きさを示したり、喜びを表現するのもよいでしょう。

人に何かを伝える際に、ぜひ視覚効果を利用する工夫をしてみてください。
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